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打木村治著『天の園』を読む。 この小説は、 山本有三の『路傍の石』や下村湖人の「『次郎物語』と共に 日本三大児童文学といわれる名作である。 何年か前に、埼玉県文化振興会議で取り上げた。 今回は、 「作風」十一月号の「私の本棚」として執筆するために読んだ。 この小説が、私を魅了して止まないのは、 作者が少年期を過ごした現在の埼玉県 東松山市唐子地区が舞台になっていること。 時代が大正初期でありながら、 そこに書かれている美しい世界(人間や社会・自然)が、 戦後の私の幼年期の世界と殆ど同じであること。 と同時に、 その全てが現代社会から失われつつあることに、 改めて驚愕する故である。 生まれた時から殺人鬼はいない。 無垢な子供を育てるのは、大人や社会や自然だ。 あの貧乏だった時代より今は豊かになった。 が、しかし・・・。 『天の園』を読むにつけ、豊かさと引き換えに、 私達は、 最も大事なものを失ってしまったように思えてならない。 |
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